【第38回東京国際映画祭2025】グランプリは『パレスチナ36』コンペティション部門結果と受賞者コメント

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10月27日から11月6日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催された「第38回東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival)」が閉幕しました。世界各国から2,500人を超えるゲストが来場し、184本の作品が上映。10日間の映画祭を締めくくるクロージングセレモニーで、コンペティション部門の結果が発表されました。

コンペティション部門の概要

コンペティション部門は、東京国際映画祭の中でもメインとなる部門で、世界各国から厳選された作品がノミネートされます。例年、個性的で多様なテーマが取り上げられ、今年も多彩なジャンルや新しい視点の15作品が集まりました。

カルロ・シャトリアン審査員長(ジャーナリスト・作家・プログラマー)の総評

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「私たちは、映画の“幅”の広さを強調するセレクションに直面しました。非常に難しかったですが、審査の過程で“多様性を尊重する”ことを大切にしてきました。画一化が進む世の中において、多様性を守ることができたのは、とても大きな成果だと思います。審査員はそれぞれ異なる経歴や好みを持っていましたが、すべての決定は“合意の結果”です。」

🏆 コンペティション部門 受賞結果

東京グランプリ/東京都知事賞

『パレスチナ36』(パレスチナ/イギリス/フランス/デンマーク)監督:アンマリー・ジャシル

「わたしたちの映画をこの賞に選んでくださり、本当に光栄です。制作に懸命に力を尽くしてきたすべての人達にとって、大きな意味を持つものです。」(アンマリー・ジャシル監督)

 

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帰国していた監督の代わりにトロフィーを受け取ったワーディ・エイラブーニ(右から3番目)と第38回東京国際映画祭コンペティション部門の審査員。

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審査員特別賞

『私たちは森の果実』(カンボジア/フランス)監督:リティ・パン

「4年にも及んだ撮影期間を支えてくれたすべての人に感謝します。とりわけ、プロデューサーのカトリーヌ・デュサールには、長旅をサポートしてもらいました。」(リティ・パン監督)

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最優秀監督賞

『春の木』(中国)チャン・リュル監督

「私の作品を評価してくださりありがとうございます。この場を借りて俳優の皆さん、チームの皆さんに感謝を伝えたいです。監督賞はチーム全体に与えられる賞だと思います。」(チャン・リュル監督)

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『裏か表か?』(イタリア/アメリカ)アレッシオ・リゴ・デ・リーギ&マッテオ・ゾッピス監督

「ローマに戻ってきたところで受賞の知らせを聞きました。とても光栄です。東京で観客と時間を共有できたこと、とても良い時間をすごせたことに感謝しています。ありがとうございます。」(アレッシオ・リゴ・デ・リーギ&マッテオ・ゾッピス監督)

最優秀女優賞

福地桃子・河瀨直美『恒星の向こう側』(日本)

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「人物を見つめ、溶け合っていく作業は決して一人では乗り越えられませんでした。この経験を胸にこれからも1つ1つの作品に向き合っていきたいです。」(福地桃子)

「監督としてではなく、俳優として参加できたのは中川龍太郎監督のおかげです。福地さんには冷たい態度をとるなど、徹底した役作りをしていましたが、最後に彼女の重さと温かさを背負えて涙が出ました。」(河瀨直美)

最優秀男優賞

ワン・チュアンジュン『春の木』(中国)

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「このような賞をいただくとは夢にも思ってませんでした。中国映画120周年の節目に受賞でき、歴史の一部になれたことを誇りに思います。私の母校の映画学校も80周年なので、素晴らしいギフトになりました。」

最優秀芸術貢献賞

『マザー』(ベルギー/北マケドニア) テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督 

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「私は50歳になりましたが、18歳の少年のような大胆さをようやく得ることができました。この映画が女性たちに力を与えることを願っています。わたしたちに力を!」(テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督)

観客賞

『金髪』(日本)

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「観客の皆さんに認められたことが何より嬉しいです。またこの舞台に戻ってこられるように、励んでいきたいです。」(坂下雄一郎監督)

アジアの未来部門
アジアの未来 作品賞『光輪』(韓国)ノ・ヨンワン監督

アジア学生映画コンファレンス

作品賞『フローティング』(韓国)イ・ジユン監督
審査委員特別賞『エンジン再始動』チョン・ヘイン監督
『永遠とその1日』チェン・リーシュエン監督

コンペティション部門参加15作品

『アトロピア』 AP ヘイリー・ゲイツ (アメリカ)
『金髪 』WP 坂下雄一郎 (日本)
『恒星の向こう側 』WP 中川龍太郎 (日本)
『ポンペイのゴーレム』 WP アモス・ギタイ (フランス)
『裏か表か?』AP アレッシオ・リゴ・デ・リーギ・マッテオ・ゾッピス (イタリア/アメリカ)
『雌鶏 』AP パールフィ・ジョルジ( ギリシャ/ドイツ/ハンガリー)
『マリア・ヴィトリア』 WP マリオ・パトロシニオ (ポルトガル)
『死のキッチン 』AP ペンエーグ・ラッタナルアーン (タイ)
『マザー』 AP テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ (ベルギー/北マケドニア)
『母なる大地 』WP チャン・ジーアン (マレーシア)
『春の木』 WP チャン・リュル (中国)
『パレスチナ36』 AP アンマリー・ジャシル (パレスチナ/イギリス/フランス/デンマーク)
『虚空への説教』 AP ヒラル・バイダロフ (アゼルバイジャン/メキシコ/トルコ)
『飛行家』 WP ポンフェイ (中国)
『私たちは森の果実』 WP リティ・パン (カンボジア/フランス)

コンペティション部門審査員

審査員長 カルロ・シャトリアン( ジャーナリスト、作家、プログラマー)
審査委員 
グイ・ルンメイ(俳優)
マチュー・ラクロー(編集者)
齊藤工(俳優・監督)
ヴィヴィアン・チュウ(監督、プロデューサー)

 映画祭データ

上映動員数:69,162人(前年比112.3%)
上映作品数:184本
海外ゲスト数:2,557人
女性監督比率:23.4%

第38回東京国際映画祭

2024年10月27日~11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
公式サイト:https://2025.tiff-jp.net/ja/
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